記事16:農地転用の現地調査、何を見られる?準備すべきこと

農地転用の申請をすると、農業委員会による現地調査が行われます。

農地法第4条・第5条の許可審査において、農業委員会は申請内容の適否を判断するために現地確認を行います。

この現地調査は、許可判断に影響を与える重要な審査プロセスです。

事前に何を見られるかを知っておくことで、スムーズに審査を通過できる可能性が高まります。

現地調査とは?

農業委員会の委員が実際に申請地を訪問し、現地の状況を確認する手続きです。

確認される主な内容

  • 申請書の内容と現地の状況が一致しているか
  • 転用計画が実現可能かどうか
  • 周辺農地への影響はないか
  • 農地としての現況はどうか

現地調査で見られるポイント

1. 農地の現況

確認されること

  • 実際に農地として使われているか
  • 作物の状況(耕作中か、耕作放棄地か)
  • 管理状態はどうか

注意点 管理状況が悪い場合、「営農意思」や「転用の必要性」に疑問を持たれる可能性があります。

2. 周辺農地との関係

確認されること

  • 転用によって周辺の農業活動に支障が出ないか
  • 農道のアクセスは確保されているか
  • 排水路への影響はないか
  • 建物によって周辺農地の営農に支障が生じないか(通風・日照など)

3. 道路との接続状況

確認されること

  • 公道に接しているか
  • 道路幅は適切か
  • 車の出入りが可能か
  • 出入口の計画は適切か

注意点 計画の実現可能性の観点から、無道路地の場合は許可が難しくなることがあります。

特に住宅建築を目的とする場合、建築基準法上の接道要件も関係してきます。

4. 転用計画の実現可能性

確認されること

  • 申請書に記載された計画が現地で実現可能か
  • 造成が必要な場合、その計画は妥当か
  • インフラ(水道・電気・下水)の整備状況

注意点 「計画だけ立派で、現地では実現不可能」という状況は避けましょう。

5. 農地の区分・位置関係

確認されること

  • 農振農用地区域内かどうかの確認
  • 周辺の土地利用状況との整合性
  • 近隣に農業用施設(水路・農道)がないか

現地調査で質問されること

農業委員会の委員から、以下のような質問をされることがあります。

よくある質問

  • なぜこの土地を転用したいのですか?
  • 転用後はいつから工事を始める予定ですか?
  • 資金の目途はついていますか?
  • 代替地はないのですか?

「代替地はないのか?」という質問について

これは「本当にこの農地でなければならないのか」という必要性の審査です。

農地転用の審査基準の一つである「必要性」を確認するための質問です。

「他に転用できる土地があるのに、わざわざ優良農地を転用する必要はない」という観点から審査されます。

事前に「なぜこの土地でなければならないのか」を明確に答えられるよう準備しておきましょう。

現地調査前の準備

申請内容を把握しておく

農業委員会の委員から申請内容について質問されることがあります。

自分の申請内容(転用目的、計画、資金など)を把握しておきましょう。

立会いの準備

現地調査に立ち会う場合は、以下を準備しましょう。

  • 位置図・公図(現地で確認できるように)
  • 転用計画書(質問に答えられるように)
  • 隣接地の状況を把握しておく

現地調査のタイミング

申請後、農業委員会の総会前に現地調査が行われることが多いです。

一般的な流れ

  1. 申請受理
  2. 農業委員会が現地調査
  3. 農業委員会の総会で審議
  4. 都道府県への送付・審査(4条・5条の場合)
  5. 許可・不許可の通知

※市街化区域内の農地転用は許可ではなく届出となるため、上記の流れとは異なります。

まとめ

現地調査で見られるポイント:

✅ 農地の現況(管理状態・耕作状況)
✅ 周辺農地の営農への支障(通風・日照・農道・排水など)
✅ 道路との接続状況(接道要件も関係する)
✅ 転用計画の実現可能性
✅ 農振農用地区域内かどうか・周辺の土地利用状況との整合性

現地調査の準備:
✅ 申請内容を把握しておく
✅ 「なぜこの土地でなければならないのか」を説明できるようにする

現地調査は、許可判断に影響を与える重要な審査プロセスです。

事前準備をしっかり行い、審査に臨んでください。

次回は「農地を売りたい!転用と売却、どちらを先にすべき?」を解説します。