記事14:農地転用の手続きは、その土地がどの「区域」にあるかで大きく変わります。

特に重要なのが「市街化区域」と「市街化調整区域」の違いです。

同じ農地でも、区域によって手続きの難易度が全く異なります。

都市計画区域とは?

まず、日本の土地は「都市計画区域」と「都市計画区域外」に分かれています。

都市計画区域内は、さらに3つに分類されます:

  1. 市街化区域
  2. 市街化調整区域
  3. 非線引き区域(市街化区域にも調整区域にも指定されていない)

この区分によって、農地転用の扱いが変わります。

市街化区域とは?

市街化区域 すでに市街地になっている地域、または今後10年以内に市街化を図る地域

特徴

  • 住宅、商業施設が多い
  • インフラ(道路、上下水道)が整備されている
  • 農地は少ない

農地転用の扱い 市街化区域内の農地は、農地法第4条・第5条の転用については「許可」ではなく「届出」で足ります。

ただし、農地法第3条(農地のまま権利移動する場合)は、市街化区域内でも許可が必要です。

市街化調整区域とは?

市街化調整区域 市街化を抑制する地域、農地や自然を守る地域

特徴

  • 農地や山林が多い
  • 開発が制限されている
  • 住宅や商業施設は建てにくい

農地転用の扱い 市街化調整区域内の農地は、都道府県知事の許可が必要です。

  • 窓口は農業委員会経由
  • 4ヘクタール超の場合は農林水産大臣との協議が必要

市街化区域と市街化調整区域の違い

項目市街化区域市街化調整区域
性質市街化を進める市街化を抑制する
4条・5条の転用届出でOK知事許可が必要
3条の権利移動許可が必要許可が必要
手続き簡単・早い厳格・時間がかかる
建築原則自由原則制限あり
固定資産税高い安い

市街化区域内の農地転用(届出)

市街化区域内の農地は、農地法第4条・第5条の転用が比較的簡単です。

手続き 農業委員会に「届出」を提出するだけ

期間 1〜2週間程度

注意点

  • 届出は転用前に行う
  • 届出を怠ると罰則がある
  • 建築確認など他の許可は別途必要
  • 用途地域・建ぺい率・容積率・接道義務などの建築制限は適用される

市街化調整区域内の農地転用(許可)

市街化調整区域内の農地は、転用が厳しく制限されます。

手続き 都道府県知事の許可が必要(農業委員会経由)

期間 2〜3ヶ月以上

許可されやすいケース

  • 農業用施設(農産物の加工・販売施設など)
  • 公共施設(道路、学校など)
  • 地域の開発計画に適合する施設

許可が難しいケース

  • 一般的な住宅(原則として制限あり)
  • 営利目的の商業施設(原則困難)
  • 単独の駐車場・資材置き場(計画適合が必要)

ただし、調整区域でも以下のケースは許可される場合があります:

  • 既存集落内の自己用住宅
  • 分家住宅
  • 地域計画に適合する住宅

自治体ごとに基準が異なるため、まず農業委員会と市町村の都市計画担当課に確認しましょう。

非線引き区域の場合

市街化区域にも市街化調整区域にも指定されていない「非線引き区域」もあります。

農地転用の扱い 都道府県知事の許可が必要(農業委員会経由)

ただし、市街化調整区域ほど厳しくない場合もあります。

農地の種類(甲種・第1種・第2種・第3種農地など)によって審査基準が異なります。

都市計画区域外の場合

都市計画区域外(山間部や過疎地に多い)の農地は以下のとおりです。

  • 4ヘクタール以下:都道府県知事の許可
  • 4ヘクタール超:都道府県知事の許可(農林水産大臣との協議が必要)

※平成28年の法改正により、4ヘクタール超の場合も都道府県知事が許可権者となりました。

農地転用は「農地法」と「都市計画法」の両方が関係する

農地転用は農地法だけの問題ではありません。

都市計画法との関係 市街化調整区域では、農地法の許可とは別に、都市計画法第29条(開発行為)や第43条(建築)の許可が必要になる場合があります。

農地法の許可が下りても、都市計画法の許可が別途必要なケースがあります。

実務では「農地法はOKでも都市計画法でNG」というケースも少なくありません。事前確認を怠ると、設計や売買契約が無駄になることもあります。

両方の法律の観点から確認することが重要です。

自分の土地がどの区域か調べる方法

1. 市町村の都市計画課に問い合わせる 窓口で教えてもらえます。

2. 都市計画図を見る 市町村のホームページで公開していることもあります。

3. 不動産登記情報では分からない 登記簿には区域の記載はありません。都市計画で確認する必要があります。

区域ごとの農地転用まとめ表

区域転用手続き難易度
市街化区域4条・5条は届出低い
市街化調整区域知事許可(農業委員会経由)高い
非線引き区域知事許可(農業委員会経由)中程度
都市計画区域外知事許可(農業委員会経由)中程度

※3条(農地のまま権利移動)はすべての区域で許可が必要

まとめ

農地転用の難易度:

市街化区域(4条・5条は届出)
✅ 手続き簡単
✅ 1〜2週間で完了
✅ 転用しやすい
⚠️ 3条は許可が必要
⚠️ 建築基準法の制限は適用される

市街化調整区域(許可)
⚠️ 手続き厳格
⚠️ 2〜3ヶ月以上
⚠️ 転用が制限される
⚠️ 都市計画法第29条・第43条の許可が別途必要な場合がある

非線引き区域・都市計画区域外(許可)
△ 市街化調整区域より緩いが、農地の種類によって審査基準が異なる

農地転用を考えたら、まず自分の土地がどの区域にあるか確認しましょう。

農地転用は農地法と都市計画法の両方が関係するため、農業委員会だけでなく市町村の都市計画担当課にも相談することをおすすめします。

次回は「農振除外とは?青地を白地にする手続きを分かりやすく」解説します。