記事13:農地転用と建築確認、どちらが先?手続きの正しい順序

農地に建物を建てる場合、2つの許可が必要です。

  1. 農地転用の許可(農地法)
  2. 建築確認(建築基準法)

この2つ、どちらを先に取るべきでしょうか?

順序を間違えると、手続きが止まってしまうこともあります。

正解:農地転用が先、建築確認が後

正しい順序

  1. 農地転用の許可を取る
  2. 許可後に建築確認申請を出す
  3. 建築確認済証が下りてから着工

この順序が原則です。

なぜ農地転用が先なのか?

農地法の許可がなければ、その土地の利用は適法ではありません。

建築確認は、建築基準法第6条に基づき、建築物が建築基準関係規定に適合しているかを確認する手続きです。

つまり:

  • 農地法の許可がない
  • → 土地利用が適法でない
  • → 建築確認の前提が欠ける

という流れになります。

農地転用の許可を取ることで初めて、建築確認申請の前提が整います。

「同時申請」について

原則として、農地転用許可後でなければ建築確認は正式に受理されません。

ただし実務上は、農地転用の「許可見込み」を前提に事前相談や事前審査を並行して進めることはあります。

重要なのは以下の点です:

  • 農地転用の許可書がなければ確認済証は交付されない
  • 事前相談・事前審査は可能でも、正式な確認済証は許可書取得後
  • 着工は必ず確認済証取得後

「事前審査を並行して進める=同時に許可が下りる」ではありません。

実際の流れ

ステップ1:農地転用の準備

  • 農業委員会に事前相談
  • 建築計画を立てる(配置図、平面図など)
  • 必要書類を集める

ステップ2:農地転用の申請

  • 農業委員会に申請
  • 審査期間:2〜3ヶ月(標準的な場合)

※ただし、以下の場合はさらに時間がかかります:

  • 市街化調整区域で開発許可が必要な場合
  • 農振除外が必要な青地の場合
  • 複雑な権利関係がある場合

これらが絡む場合は、半年〜1年以上かかることもあります。

ステップ3:農地転用の許可

  • 許可書が交付される

ステップ4:建築確認の申請

  • 建築士が建築確認申請書を作成
  • 確認機関(市町村または民間の指定確認検査機関)に提出
  • 審査期間:1〜2週間程度(木造戸建ての場合)

※規模や構造によってはさらに期間がかかる場合があります。

ステップ5:建築確認済証の交付

  • 確認済証が下りる

ステップ6:着工

  • 工事開始

全体でどれくらいかかる?

標準的なケース

  • 農地転用:2〜3ヶ月
  • 建築確認:1〜2週間
  • 合計:最短でも3〜4ヶ月

余裕を持って半年程度を見込んでおくのが安全です。

時間がかかるケース

  • 市街化調整区域・開発許可が必要:さらに数ヶ月
  • 農振除外が必要な青地:+半年〜1年以上
  • 合計で1年〜1年半以上になることも

市街化区域内の場合

市街化区域内の農地の場合、原則として農地法第4条・第5条の「届出」で足ります。 届出は1〜2週間で完了するため、全体の期間が短くなります。

ただし、市街化区域内でも建築確認は必要です。

さらに確認すべき事項

  • 用途地域の制限
  • 建ぺい率・容積率
  • 接道義務
  • 高さ制限

農地転用の手続きが簡単になるだけで、建築基準法上の制限は当然適用されます。

市街化調整区域の場合

市街化調整区域では、農地転用の許可とは別に、都市計画法第29条(開発行為)や第43条(建築)の許可が必要になる場合があります。

この場合、手続きがさらに複雑になります。

  • 農地転用の許可(農地法)
  • 開発許可または建築許可(都市計画法第29条・第43条)
  • 建築確認(建築基準法第6条)

実務では「農地法はOKでも都市計画法でNG」というケースも少なくありません。事前確認を怠ると、設計や売買契約が無駄になることもあります。

これらの手続きの関係を事前に農業委員会と市町村の都市計画担当課に確認しましょう。

よくある間違い

1. 建築確認を先に取ろうとする 「建築確認は早いから、先に取っておこう」 → 農地転用許可がなければ正式受理されません

2. 許可前に着工してしまう 「どうせ許可が下りるから、工事を始めてしまおう」 → 違反転用になり、罰則の対象です

3. 建築計画を詰めずに農地転用を申請 「とりあえず転用許可だけ取ろう」 → 具体的な建築計画がないと、転用許可も下りません

4. スケジュールを甘く見る 「すぐ許可が下りる」と思っていたら数ヶ月かかり、建築が遅れることも。 農振除外や開発許可が必要な場合はさらに長くなります。

建築計画は農地転用の申請時に必要

農地転用の申請時には、建築計画がある程度固まっている必要があります。

必要な資料

  • 配置図(どこに建物を配置するか)
  • 平面図(間取り)
  • 立面図(建物の高さや外観)
  • 資金計画

建築士に依頼して、これらの図面を作成してもらいましょう。

建築士はいつ依頼する?

農地転用の申請前に、建築士に相談しておくのがベストです。

理由

  • 農地転用の申請に建築計画図が必要
  • 建築士が法令チェックをしてくれる
  • 建築確認申請もスムーズに進む
  • 市街化調整区域や開発許可が必要かどうかも確認できる

建築士を決めずに農地転用だけ進めると、後で計画変更が必要になることもあります。

まとめ

農地に建物を建てる正しい順序:

1️⃣ 農地転用の許可(2〜3ヶ月、青地や調整区域は+半年〜1年以上)
2️⃣ 建築確認の申請・取得(1〜2週間、規模・構造によっては長くなる)
3️⃣ 着工

✅ 農地転用が先、建築確認が後
✅ 建築確認は建築基準法第6条に基づき建築基準関係規定への適合を確認する手続き
✅ 事前審査は並行して進めることもあるが、許可書なしに確認済証は交付されない
✅ 市街化区域内は原則として農地法第4条・第5条の届出で足りるが、建築基準法の制限は適用される
✅ 市街化調整区域は都市計画法第29条・第43条の許可が別途必要になる場合がある
✅ 全体で3〜4ヶ月以上かかる(ケースによっては1年以上)

順序を間違えると手続きが止まるので、事前に農業委員会・建築士に相談しましょう。

次回は「市街化区域と市街化調整区域、農地転用の違いを解説」します。