記事8:農地転用の申請をしても、必ず許可が下りるわけではありません。

実際に不許可になるケースは少なくありません。

ここでは、農地転用が不許可になる代表的な5つの理由を解説します。

農地転用許可の3つの審査基準

不許可になる理由を理解する前に、農地転用の審査基準を押さえておきましょう。

農地法では、転用許可の審査において以下の3つの基準が重視されます。

1. 確実性 転用目的が確実に実現できるか

2. 必要性 その農地を転用する必要性があるか

3. 合理性 転用計画が合理的かどうか

この3つの基準を満たさないと、不許可になる可能性が高くなります。

以下の5つの理由は、この審査基準に照らして説明できます。

1. 転用できない農地だった

青地(農用地区域内農地)は原則転用不可

青地に指定されている農地は、農業を優先すべき土地として保護されています。

そのため、農振除外の手続きを経ずに転用申請をしても不許可になります。

農振除外のハードルは高い

農振除外には以下の点に注意が必要です:

  • 申請時期が限られている(多くの自治体で年1回程度)
  • 農振法の厳しい要件をすべてクリアする必要がある
  • 除外できないケースも多い
  • 手続きに半年〜1年以上かかる

「農振除外すれば転用できる」と簡単に考えるのは危険です。

対策 申請前に、その農地が青地か白地かを必ず確認しましょう。 青地の場合は、農振除外が可能かどうか、まず市町村の農政担当課に相談してください。

2. 転用の目的が不適切・不確実

確実性・必要性・合理性が審査される

農地転用の申請では、計画の具体性と実現可能性が厳しく審査されます。

不許可になりやすい計画:

  • 「とりあえず駐車場にする予定」
  • 「将来、何かに使うかもしれない」
  • 「なんとなく宅地にしたい」

こうした曖昧な計画は、確実性・必要性・合理性のいずれも満たしません。

対策

  • 明確な利用計画を立てる
  • 配置図、設計図を用意する
  • なぜその農地でなければならないか(必要性)を説明できるようにする
  • 転用計画が合理的であることを示す

具体的で実現可能な計画であることを証明する必要があります。

3. 転用に必要な資力がない

資金が不十分

転用後の建築や造成に必要な資金がない場合、「確実性」の観点から不許可になります。

対策

  • 預金残高証明書を提出
  • 融資の内定証明を取得
  • 施工業者との契約予定書を用意
  • 具体的な資金計画を示す

自己資金だけでなく、施工業者との契約予定書まで求められることもあります。

資金計画の裏付けが弱いと、不許可になりやすいので注意しましょう。

4. 周辺の営農に支障がある

周辺農地への悪影響

転用する土地が農地の真ん中にあり、周辺の農業に支障をきたす場合、不許可になることがあります。

農業委員会の現地調査で特に重視されるポイント

現地調査では、周辺農地への影響が重点的に確認されます。具体的には:

  • 農道を塞いでしまわないか
  • 日照を遮らないか
  • 排水路を変更してしまわないか
  • 農薬散布に影響しないか
  • 周辺農家の作業に支障がないか

対策

  • 周辺農地への影響を最小限にする計画を立てる
  • 隣接地の所有者の同意を得る
  • 代替の農道や排水路を確保する

5. 一時的な転用である

転用の確実性・永続性が求められる

農地転用は、確実に、永続的に農地以外の用途に使う場合に限られます。

「数年後には農地に戻すかもしれない」 「一時的に資材置き場にしたい」

こうした一時的な転用は、原則として許可されません。

一時転用という制度について

「一時的な利用」を目的とした場合に限り「一時転用」という制度があります。

ただし、以下の点に注意が必要です:

  • 農地に戻すことが前提の制度
  • 許可される用途は限定的
  • ハードルは通常の転用と同様に高い
  • 期間終了後、確実に農地に戻せることを証明する必要がある

「一時転用なら簡単に許可される」という考えは誤りです。

その他の不許可理由

書類の不備 必要書類が揃っていない、または記載内容に誤りがある

虚偽の記載 申請内容に事実と異なる情報がある

法令違反 建築基準法など他の法律に違反する計画

過去の違反転用歴 以前に違反転用をしていた場合、農業委員会の審査が著しく厳しくなります。

また、自治体によっては:

  • 改善指導が完了していない場合、新たな申請を受け付けない
  • 違反状態が解消されるまで審査が進まない

違反転用の前歴は、その後の申請に長期間影響します。

まとめ

農地転用が不許可になる主な理由:

  1. 転用できない農地(青地)だった
  2. 転用の目的が不適切・不確実(確実性・必要性・合理性を満たさない)
  3. 資金が不十分(資金の裏付けが弱い)
  4. 周辺の営農に支障がある(現地調査で重点確認)
  5. 一時的な転用である(一時転用も原則ハードルは高い)

不許可を避けるには、事前に農業委員会に相談し、計画の妥当性を確認してもらうことが大切です。

次回は「許可なしで農地転用するとどうなる?違反転用のリスク」を解説します。