記事11:農地を駐車場にしたい!転用許可のポイントと注意点

「使っていない農地を駐車場にしたい」 「自宅の隣の田んぼを駐車スペースにしたい」

農地を駐車場にするのも、立派な農地転用です。

ここでは、農地を駐車場に転用する際のポイントと注意点を解説します。

まず最初に確認すること

農地を駐車場にしたいと思ったら、まず以下を確認しましょう。

① 転用できる農地か

  • 青地(農用地区域内農地)でないか
  • 市街化区域か市街化調整区域か

特に農用地区域(いわゆる青地)の場合は、転用前に農振除外の手続きが必要になることがあります。

② どんな駐車場にするか

  • 自家用か事業用か
  • 舗装するかしないか
  • 何台分か

③ 農業委員会に事前相談 これらが確認できたら、農業委員会に相談しましょう。

駐車場も農地転用が必要

農地を駐車場にする場合、農地法の許可が必要です。

「舗装しないから大丈夫」 「砂利を敷くだけだから農地のまま」

こうした認識は間違いです。

舗装の有無にかかわらず、駐車場として使う時点で農地転用にあたります。

駐車場の種類と許可の難易度

駐車場の用途によって、審査の難易度が変わります。

自家用駐車場(比較的通りやすい)

  • 自宅の駐車スペース
  • 自分の事業で使う駐車場

月極駐車場(普通)

  • 自分で経営する場合
  • 周辺の需要や立地状況も審査対象になります

コインパーキング(やや厳しい)

  • 事業として運営
  • より詳細な事業計画が必要

農地法4条か5条か

4条と5条の違いは「権利が移転するかどうか」です。

農地法4条(自分の土地で転用する場合)

  • 自宅用の駐車スペース
  • 自分の事業用の駐車場
  • 自分の土地のまま月極駐車場を経営する

農地法5条(権利が移転する場合)

  • 駐車場用地として売却する
  • 駐車場業者に土地を貸す
  • 月極駐車場用地として第三者に賃貸する

ポイントは「誰の土地として、誰が使うか」です。

自分の土地のまま自分で経営するなら4条、売買や貸付が伴うなら5条になります。

どちらに該当するかは、事前相談で確認しておきましょう。

駐車場転用の計画で必要なこと

転用許可を得るには、具体的な計画が求められます。

必要な情報

  • 駐車場の配置図(何台分、どこに停める)
  • 出入口の位置(道路との接続)
  • 舗装の有無(アスファルト、コンクリート、砂利など)
  • フェンスやライン引きの有無
  • 照明設備の有無
  • 排水計画
  • 資金計画(造成費用をどう賄うか)

「とりあえず駐車場」では許可されません。

道路との接続

駐車場には、車が出入りできる道路が必要です。

確認すべきポイント

  • 接する道路は公道か私道か
  • 道路幅や出入口の安全性は重要な審査ポイントになります
  • 出入口の設置に問題はないか

道路に接していない土地(無道路地)では、駐車場の転用が難しい場合があります。

周辺農地への影響と排水対策

駐車場にすることで、周辺の農地に悪影響を与えないかも審査されます。

考慮すべき点

  • 周辺農地の営農に支障が出ないか
  • 農道を塞がないか
  • 騒音やライトで迷惑をかけないか

排水対策は特に重要

駐車場への転用で意外と指摘されやすいのが排水の問題です。

雨水の処理方法を具体的に計画しておきましょう。

  • 側溝に流す(既存の側溝を活用)
  • 敷地内で浸透させる(透水性舗装や浸透桝を設置)
  • 排水路を新設する

排水計画が不十分だと、隣接農地に水が流れ込んでトラブルになることがあります。事前に排水の処理方法を明確にしておきましょう。

恒久利用が原則・一時転用について

農地転用は原則として、恒久的な利用を前提とします。

「数年後には別の用途に変えるかもしれない」という曖昧な計画では許可されません。

ただし、工事期間中など一定期間のみ利用する「一時転用」という制度もあります。

一時転用の注意点:

  • 農地に戻すことが前提
  • 許可される用途は限定的
  • 一時転用であっても、許可基準に基づく審査が行われます

「一時転用なら審査が不要」という考えは誤りです。

舗装は必須ではない

「駐車場=必ず舗装」ではありません。

砂利を敷くだけ、あるいは土のままでも駐車場として使えます。

ただし、申請時には「どのような状態にするか」を明記する必要があります。

転用後の地目変更

駐車場に転用した後は、地目を「雑種地」に変更する登記が必要です。

(「駐車場」という地目は存在しません)

地目変更は土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。

よくある質問(FAQ)

Q:砂利を敷くだけでも転用許可が必要ですか?
A:はい、必要です。舗装の有無にかかわらず、農地を駐車場として使う時点で農地転用にあたります。「砂利だから大丈夫」という考えは誤りです。

Q:自分の土地で月極駐車場を経営する場合は何条ですか?
A:自分の土地のまま自分で経営する場合は4条です。5条になるのは、駐車場用地として売却したり、業者に貸したりする場合です。

Q:農道に面している土地でも駐車場にできますか?
A:農道は公道ではない場合が多く、車の出入りに使えないケースもあります。まず農業委員会に相談し、接する道路の状況を確認しましょう。

Q:コインパーキングにしたい場合、審査は厳しくなりますか?
A:一般的に、事業としての収益性や需要の妥当性も審査されるため、自家用駐車場よりも詳細な事業計画が必要になります。

まとめ

農地を駐車場にするポイント:

✅ 舗装の有無にかかわらず転用許可が必要
✅ 自分の土地で自分が使う(4条)か、権利が移転する(5条)かで手続きが変わる
✅ 具体的な配置・計画を立てる
✅ 道路との接続と安全性を確認
✅ 排水計画を明確にする(側溝・浸透・排水路など)
✅ 周辺農地の営農に支障が出ないか確認
✅ 恒久的利用が原則(一時転用は許可基準に基づく審査あり)
✅ 転用後は地目変更(雑種地)を忘れずに

駐車場は「簡単そうに見えて不許可になりやすい転用」の一つです。

計画の段階から農業委員会に相談し、しっかり準備して進めましょう。

次回は「相続した農地、どうする?転用・売却・そのまま所有の判断基準」を解説します。