記事5:「農地転用をしたい」と思っても、いきなり申請書を書けばいいわけではありません。

準備不足で申請すると、不許可になったり、やり直しになったりします。

ここでは、申請までにやるべきことを7つのステップで解説します。

ステップ1:農地の状況を確認する

まず、その農地が転用できる農地かどうかを確認します。

  • 青地(農用地区域内農地)か白地か
  • 市街化区域内か市街化調整区域か
  • 農地の地目は何か(登記簿謄本で確認)

重要:現況が農地かどうかも確認

農地法では「現況主義」が採用されています。

  • 登記簿の地目が「山林」でも、実際に耕作されていれば農地法の対象
  • 逆に、登記簿が「田」や「畑」でも、相当期間にわたり適法に宅地等として利用され、客観的に農地性を失っている場合には、農地法の対象外と判断されることもあります

登記簿だけでなく、実際の土地の使われ方が重要です。

※青地の場合は要注意

青地(農用地区域内農地)の場合は、農振除外の手続きが先に必要です。農振除外には半年〜1年以上かかるため、全体のスケジュールに大きく影響します。

ステップ2:転用の目的と計画を明確にする

何のために転用するのか、具体的な計画を立てます。

  • 住宅を建てる → 建築計画、間取り、配置図
  • 駐車場にする → 台数、舗装の有無、出入口の位置
  • 太陽光発電 → パネルの配置、発電量、事業計画

曖昧な計画では許可が下りません。

資金の裏付けが最重要

転用して家を建てる、施設を作るなら、その資金が本当にあるかが厳しくチェックされます。

  • 銀行の融資証明書
  • 預金残高証明書
  • 具体的な資金計画

「計画だけ」では許可は下りません。実現可能性のある資金計画を証明する必要があります。

ステップ3:農業委員会に事前相談

いきなり申請するのではなく、まずは農業委員会に相談します。

相談で確認すること:

  • この農地は転用できるか
  • 必要な書類は何か
  • 申請のタイミング(締切日、総会の日程)
  • 許可までの期間
  • 注意すべきポイント

この段階で「転用できない」と分かれば、無駄な準備をせずに済みます。

実務のコツ:担当者の名前を控える

窓口の担当者名を控えておくと、後日の問い合わせがスムーズです。

ステップ4:必要書類を集める

農地転用の申請には多くの書類が必要です。

主な書類:

  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 公図、地積測量図
  • 位置図、周辺見取図
  • 転用計画書、配置図
  • 土地の写真
  • 資金証明(残高証明、融資証明など)← 重要
  • 権利者の同意書(賃貸借・使用貸借・抵当権などの権利がある場合)
  • その他、自治体が指定する書類

書類の取得には時間がかかるものもあるので、余裕を持って準備しましょう。

融資証明書の準備を忘れずに

建築や造成に資金が必要な場合、銀行から融資の内定証明書を取得しておきましょう。

ステップ5:申請書を作成する

必要書類が揃ったら、申請書を作成します。

申請書には:

  • 申請者の情報
  • 農地の所在、地番、地目、面積
  • 転用の目的
  • 転用後の利用計画
  • 資金計画

なぜその土地を転用する必要があるのか

転用の動機(なぜそこでなければならないのか)も重要なポイントです。

「他に代替地がない理由」を明確にしておきましょう。

記入ミスや不備があると受理されないので、慎重に作成します。

ステップ6:農業委員会に申請する

完成した申請書と書類一式を農業委員会に提出します。

4条と5条の違い

  • 4条申請:自分の農地を自分で転用する場合
  • 5条申請:農地を買ったり借りたりして転用する場合

※ 名義変更の有無ではなく、「誰が転用するか」で判断されます。

どちらに該当するかは、事前相談で確認しておきましょう。

注意点

  • 申請には締切日があります(毎月10日〜20日頃が多い、自治体による)
  • 締切に間に合わないと、次の月まで待つことになります
  • 書類に不備があると受理されません

ステップ7:審査を待つ

申請後は、審査の結果を待ちます。

審査の流れ:

  1. 農業委員会が現地調査
  2. 農業委員会の総会で審議
  3. (4条・5条の場合)都道府県に送付
  4. 都道府県が審査
  5. 許可・不許可の通知

標準的な期間:2〜3ヶ月

これは白地(農用地区域外)の農地転用の場合です。

※ 期間は自治体や案件内容によって前後します。

市街化区域内は「届出」で早い

市街化区域内の農地であれば、許可ではなく「届出」で済むため、審査期間は大幅に短縮されます(1〜2週間程度)。

※青地の場合は大幅に長くなります

青地(農用地区域内農地)の場合は、農振除外の手続きが先に必要で、さらに半年〜1年以上かかります。全体では1年〜1年半以上を見込む必要があります。

まとめ

農地転用は、計画から許可まで数ヶ月かかることも珍しくありません。

急ぎの場合でも、正しい手順を踏まないと許可は下りません。

7つのステップ

  1. 農地の状況確認(登記簿+現況、青地は要注意)
  2. 具体的な計画と実現可能性のある資金計画
  3. 農業委員会に事前相談
  4. 必要書類を集める
  5. 申請書を作成(転用の動機も明確に)
  6. 農業委員会に申請(締切日厳守)
  7. 審査を待つ(白地2〜3ヶ月、青地は+半年〜1年以上)

まずは「農業委員会に相談」からスタートしましょう。

次回は「農地転用にかかる期間は?申請から許可までのスケジュール」を解説します。